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事業承継計画とは?-企業成長支援- GDG

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2025.05.17

事業承継計画とは?

企業が未来にわたって持続・発展していくためには、経営のバトンを次世代に渡す「事業承継」は避けて通れない重要なテーマです。しかし現実には、株式の移転に焦点が当たり、企業の中核でもあるビジョンや文化、組織の動かし方までは手が回っていないケースが大半です。

この記事では、一般的な計画書の作成方法に加え、事業承継計画をどのような位置づけで考えるべきかについて解説します。

なぜ、事業承継計画が求められているのか?

中小企業の経営者の高齢化が進む中、事業承継の遅れが企業存続リスクに直結する時代になっています。「後継者がいない」「候補が育っていない」「株式の引き継ぎしか考えていない」。多くの企業がこうした問題を抱えています。また、経営者の方々の中には、「承継はいつかできる」と思い込んでいることも多くあります。

事業承継は単なる引き継ぎ作業ではなく、経営のリ・デザインです。だからこそ、計画を早くから言語化して、社内外で共有していくことが、企業の持続可能性を支える鍵となるのです。

株や役職だけで終わってはいけない事業承継計画

多くの事業承継支援では、相続税対策や自社株の評価、後継者の選定といった「ハード面」の整理が中心となっています。もちろん、これらは避けて通れない要素ですが、それだけで承継が成立するわけではありません。

株式会社グランド・デザイニング・グループ(GDG)では、株式移転だけでなく、「企業に流れる空気」「経営判断の哲学」「組織のまとまり方」「業務オペレーションの構造」といった目に見えない資産=ソフト資本の承継にこそ、計画の価値があると考えています。

事業承継計画には複数の軸と展望が必要

事業承継計画は、単に「引き渡し手順」ではなく、会社の存在意義や発展戦略を再設計する機会でもあります。私たちは以下の4つの軸をもとに、計画づくりをサポートしています。

第一に、「ビジョンとイズム」です。創業者が大切にしてきた価値観、判断基準、働き方の美学。それらを“言葉”として形式知化し、次世代へ橋渡しする取り組みが必要です。

第二に、「経営と組織体制」の再設計です。後継者だけでなく、後継者を支える経営チームの構成、意思決定のプロセス、ガバナンスの在り方を含め、承継後の経営が機能する体制づくりが必要です。

第三に、「業務とオペレーションの仕組み化」です。属人化したノウハウを整理し、業務マニュアルや業務フローとして見える化していくことで、承継後の現場の混乱を防ぎます。

第四に、「承継の選択肢」です。親族承継だけでなく、MBO、外部招聘、M&A、IPOといった複線的なシナリオを描くことで、柔軟かつ現実的な承継が可能になります。

なお、上記は現行の経営や事業の状況を前提としがちな点には注意が必要です。外部環境は刻一刻と変化し、自社の事業領域や戦術、それにともなって組織体制も変化していくはずです。いわゆる経営計画に該当しますが、これらを反映した承継計画は、「静止画としての現状」というよりも、将来の経営計画や絵姿と整合する状態、つまり「動的な将来像」として構築する必要があります。

計画書作成のステップと記載内容

「事業承継計画書」は、実際にどのように作成すべきでしょうか。

以下は一般的な計画作成のステップになります。

最初に行うべきは、自社の現状把握です。財務状況や組織構造、後継者候補の有無、経営資源の棚卸しを通じて、自社の強みと課題を言語化します。そのうえで、承継の方針(親族か、社内昇格か、外部招聘か)を明確にし、承継の対象(株、資産、経営権など)と方法を整理します。続いて、計画実行までのスケジュールを年単位・月単位で設定し、関係者との合意形成プロセス(役員会、社員、金融機関など)を設計します。理念の継承方法や、後継者の育成方針、承継後の経営体制も記載しておきましょう。

承継は「引き継ぎ」ではなく、新しい経営のはじまり

事業承継とは、ただ今の会社を守るための作業ではありません。それは、次の10年・20年をデザインするプロセスです。承継後の組織がどう動き、何を目指し、誰のために価値を生み出していくのか。現経営者による、未来への構想を打ち立てる経営判断ともいえます。承継とは、企業の本質を問い直す絶好のチャンスでもあるのです。

まとめ

事業承継計画は、「誰に引き継ぐか」だけでなく、「何を、どこまで、どうやって引き継ぐか」を明確にするための戦略書です。株や契約だけでなく、企業の想い、文化、仕組み、チームまで、それらを未来へ託すからこそ、本当の意味で“持続可能な承継”が実現します。表層的な承継で終わらせないために、構想から実行までを一貫して描いた事業承継計画をつくりましょう。

事業承継は局所的な対応や準備不足に陥りやすいのが実情であり、いまだ有効なソリューションが普及しているとは言い難い状況です。

株式会社グランド・デザイニング・グループ(GDG)では、事業承継の支援を行っています。ご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

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