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「跡継ぎ問題」3つの解決策|後継者不在の不安を解消する事業承継の始め方-企業成長支援- GDG

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2025.06.12

「跡継ぎ問題」3つの解決策|後継者不在の不安を解消する事業承継の始め方

はじめに:会社の未来、一人で悩みを抱えていませんか?

「自分が引退したら、この会社はどうなるのだろうか」 「長年、大切に育ててきた事業を、誰に、いつ、どう託すか」

多くの中小企業経営者の皆様が、日々の経営に追われる中で、この重く、しかし避けては通れない「跡継ぎ問題」という経営課題を、お一人で抱えていらっしゃるのではないでしょうか。

「まだ自分にしかできない仕事がある」「後を任せられる人がいない」。そうお考えになるのは、会社への深い愛情と責任感の表れであり、自然なことです。しかし、会社の未来を考えた時、「いつかは着手しなければ」と感じながら時間だけが過ぎていくことに、漠然とした不安を感じていませんか?

実は経営者の多くが同様の悩みを抱えられており、解決への道筋も存在します。

この記事では、「跡継ぎ問題」に真剣に向き合う全ての経営者の皆様のために、後継者不在の不安を解消するための3つの主要な解決策を徹底的に比較・解説し、後悔のない事業承継を実現するための「最初の一歩」を具体的に示します。会社の未来を繋ぐための、羅針盤としてご活用ください。

なぜ「跡継ぎ問題」は解決が難しいのか

多くの中小企業で跡継ぎ問題が深刻化する背景には、単に「後継者がいない」という表面的な課題だけでなく、より本質的な理由が複雑に絡み合っています。

現社長ご自身が長年培ってきた知識、経験、人脈、そして何よりも「経営者としての器」に並ぶ人材がすぐには見つからないという現実。ゼロから会社を成長させてきた自負があるからこそ、「自分が守らなければ」という強い責任感が、事業の引継ぎをためらわせる要因となります。

また、事業承継は、株式、税務、法務、組織、人材育成など、考えるべき要素が多岐にわたるため、「どこから手をつければ良いか分からない」と行動への障壁を感じてしまうことも少なくありません。

(※より詳しい課題の背景や、「跡継ぎ」と「後継ぎ」の言葉の定義については、以下の記事で解説しています。)
「跡継ぎ」と「後継ぎ」の違いとは?後継者がいない会社の深刻な現実と課題

しかし、どのような課題があっても、解決策の選択肢を知ることから道は開けます。次に、具体的な3つの解決策を見ていきましょう。

「跡継ぎ問題」3つの解決策

後継者不在の課題を解決するための道は、一つではありません。貴社の状況や文化、そして経営者ご自身の想いに合わせて、主に3つの選択肢が考えられます。それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、最適な道筋を見極めることが重要です。

選択肢1:親族内承継(ファミリーの力を未来へ繋ぐ)

概要
経営者のご子息やご令嬢、あるいはご兄弟といった親族に、会社の株式や経営権を引き継ぐ、最も伝統的な承継方法です。

このような経営者におすすめ:
・ 親族内に、事業への関心と経営者としての意欲・資質を兼ね備えた候補者がいる方。
・ 創業家としての理念や想いを、次世代にも色濃く受け継いでいきたいと考える方。

メリット:
・ 経営理念の継承:会社の理念や独自の文化が、価値観の近い親族によって自然に継承されやすい。
・ 内外からの理解:従業員や古くからの取引先、金融機関からも「〇〇社長のご子息なら」と、心情的に受け入れられやすい。
・ 所有と経営の一体:株式(所有)と経営権をスムーズに集中させやすく、迅速な意思決定を維持できる。

デメリットと注意点
・ 候補者不在のリスク:親族に承継の意思がなかったり、経営者としての資質に不安があったりする場合、選択が難しい。
・ 税負担の課題:相続税や贈与税が高額になる可能性があり、納税資金の準備が大きな課題となる。
・ 親族間の対立:複数の相続人がいる場合、後継者の選定や財産分与を巡って対立が生じるリスク。

成功への鍵
後継者候補の早期選定と、時間をかけた計画的な育成が不可欠です。「事業承継税制」などの税制優遇措置を最大限に活用し、税理士などの専門家と共に入念な税務対策を講じる必要があります。

選択肢2:従業員承継(信頼する右腕を、次代のリーダーへ)

概要
長年会社を支えてきた役員や、貢献度の高い優秀な従業員に、事業を引き継ぐ方法です。近年、親族内承継とほぼ同等の割合で選ばれる、主要な選択肢となっています。

このような経営者におすすめ
親族に後継者はいないが、社内に「この人物になら任せられる」と信頼する従業員がいる方。
M&Aには抵抗があり、今の企業文化や従業員の雇用を維持したまま会社を存続させたい方。

メリット
・ 経営の継続性:事業内容や組織文化を熟知した人物が引き継ぐため、経営の混乱が少なく、スムーズな移行が期待できる。
・ 従業員の士気向上:「自分たちの仲間が社長になる」という事実は、他の従業員のモチベーション向上や組織の活性化に繋がる。
・ オーナーの想いの実現:共に苦楽を乗り越えてきた社員に託すことで、経営理念や想いが引き継がれやすい。

デメリットと注意点
資金調達の壁: 後継者となる従業員が、株式取得のための多額の資金を自己資金で用意することが極めて困難。
・ 経営能力の育成: 「現場のプロ」が必ずしも「経営のプロ」とは限らず、経営者としての視座や能力をゼロから育成する必要がある。
・ 個人保証の引き継ぎ: 経営者が負っていた金融機関からの借入に対する個人保証を、後継者が引き継ぐ際のハードルが高い。

近年は、後継者候補を社外から募集と検索する会社が増えており、“外部採用型の跡継ぎ募集”が現実的な選択肢となっています。

跡継ぎがいない会社が後継者募集するために

成功への鍵
後継者候補の経営者としての育成計画を具体的に策定し、実行することが最も重要です。株式取得の資金調達については、MBO(マネジメント・バイアウト)のスキームや、日本政策金融公庫などの公的融資、補助金の活用を検討します。

(※従業員承継の具体的な進め方、メリット・デメリット、株価の問題については、以下の記事で解説しています。)
【従業員承継のすべて】後継者がいない中小企業オーナー

選択肢3:M&A(第三者承継)(外部の力で、会社の新たな成長を)

概要
社外の企業や個人に会社を売却(株式譲渡)し、事業を引き継いでもらう方法です。後継者不在問題を解決するための、極めて現実的で有効な手段として広く活用されています。

このような経営者におすすめ
親族・社内に後継者が見当たらず、廃業以外の選択肢を考えている方。
会社のさらなる成長のために、より大きな企業の資本力やネットワークを活用したいと考える方。
会社の売却によって、オーナー様ご自身が創業者利益を確保し、引退後の生活設計を考えたい方。

メリット
後継者問題の即時解決:最適な買い手が見つかれば、後継者不在の悩みを根本的に解決できる。
・ 事業の成長と雇用の維持:大企業の傘下に入ることで、事業が拡大し、従業員の雇用も維持・発展させられる可能性が高い。
・ 創業者利益の獲得:オーナー経営者は、株式の売却によって金銭的な対価(創業者利益)を得ることができる。

デメリットと注意点
・ 企業文化の変容:買い手企業の文化が流入し、これまでの社風が大きく変わる可能性がある。
・ 従業員の処遇への不安:統合の過程で、従業員が給与や待遇、職場環境の変化に不安を感じ、離職に繋がるリスクがある。
・ 希望条件との乖離:必ずしも希望通りの条件(売却価格、従業員の処遇など)で売却できるとは限らない。

成功への鍵
自社の価値を正しく評価し、従業員の雇用や企業文化を尊重してくれる、最適なパートナー(買い手)を見極めることが全てです。信頼できるM&A仲介会社やコンサルタントと連携し、入念な準備と交渉を進める必要があります。

(※M&Aが従業員に与える影響や、企業価値については、以下の記事をご参照ください。)
M&Aで従業員は本当に幸せになる?不安を解消し、活躍してもらうための戦略
M&Aは利益の何倍?その“常識”に潜む罠と、企業価値を正しく測る方法

後悔しない事業承継、いつから始めるべきか

3つの選択肢をご覧いただき、ご自身の会社にとっての可能性が見えてきたかもしれません。では、いつから準備を始めるべきなのでしょうか。

答えは「『跡継ぎがいないかもしれない』と感じた、まさにその瞬間」です。

事業承継の準備には、一般的に5年〜10年以上の期間が必要とされています。後継者の育成、企業価値の向上、税務対策など、時間をかければかけるほど、打てる手は増え、より円滑で有利な承継が実現できます。早すぎる準備ということは、決してありません。

まとめ:会社の未来を繋ぐ、最初の一歩を踏み出すために

跡継ぎ問題は、多くの経営者にとって、孤独で重い課題です。しかし、解決のための道筋は必ず存在します。大切なのは、一人で抱え込まず、まずは客観的に自社の状況を把握し、どのような選択肢があるのかを知ることから始めることです。

私たち株式会社グランド・デザイニング・グループ(GDG)は、特定の解決策ありきではなく、貴社にとってどの道が最適なのかを共に考え、計画立案から実行まで伴走するパートナーです。

「うちはどの選択肢が合っているのか、専門家の意見が聞きたい」
「従業員承継を考えたいが、何から始めればいいか分からない」
「M&Aも視野に入れたいが、従業員のことが心配だ」

もし、このようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。最初のステップとして、貴社が未来へ繋がるための最良の道を、共に探すお手伝いをいたします。

ご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

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