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事業承継における従業員承継の概要|成功の秘訣と実行ステップ-GDGマガジン

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2025.06.12

事業承継における従業員承継の概要|成功の秘訣と実行ステップ

GDGマガジン|中堅/中小企業経営者のためのビジネスメディア

「親族以外に会社を託したい」「長年貢献してくれた従業員に、この会社を継がせたい」。

中小企業のオーナー経営者の皆様が抱える、こうした事業承継への想いは、決して珍しいものではありません。
しかし、その一方で「本当に従業員に任せて大丈夫だろうか?」「株式や資金はどうすればいいのか?」といった不安も尽きないのではないでしょうか。

この記事では、親族に後継者がいない、あるいは従業員への承継を真剣に考えているオーナー経営者の皆様のために、「従業員承継」のメリット・デメリットから、成功への具体的なステップ、よくある課題とその乗り越え方を解説します。

1. 「従業員承継」とは何か?なぜ今、中小企業オーナーに選ばれるのか

従業員承継とは、親族以外の役員や従業員に会社の株式や経営権を引き継ぐ方法です。
後継者不在に悩む中小企業のオーナー様にとって、近年ますます注目される選択肢となっています。
中小企業白書によれば、2022年では従業員承継が33.9%と親族内承継の34.0%とほぼ同等の割合となっています。

従業員承継の定義と注目される背景

従業員承継は、親族内承継が難しい場合や、長年会社を支えてきた優秀な社員に報いたいというオーナー様の強い想いから選ばれることが多くなっています。
日本では経営者の高齢化が進む一方で、少子化によって親族内に適切な後継者がいないケースが増加しています。
M&Aが一般的になったとはいえ、「信頼できる社員に託したい」と考えるオーナー様にとって、従業員承継は廃業以外の現実的な解決策です。

従業員承継のメリット・デメリット

従業員承継を選ぶ際には、他の承継方法と比較して、その特性を理解しておくことが重要です。

従業員承継のメリットとして、まず承継後の経営の安定性が挙げられます。
会社の事業内容や組織文化を熟知した社員が引き継ぐため、混乱が少なくスムーズな移行が期待できます。
また、場合によっては、従業員のモチベーション向上にも繋がります。幹部社員や若手社員に「自分たちにも経営を任せてもらえる」という希望が生まれ、組織全体の活性化が期待できることもあります。

オーナーの想いの承継という面もあります。
長年育てた会社を、共に苦楽を経験した社員に託すことで、経営理念や企業文化を確実に次世代へ引き継げます。外部との交渉がないため、機密情報の漏洩リスクが低く抑えられるのも利点です。

一方で、デメリットも存在します。
後継者となる従業員が、株式取得のための多額の資金を自身で用意することが難しい場合があります。
現場のプロであっても、経営全体を俯瞰する視点や、リスクを判断する能力はゼロから育成する必要があり、経営者としての育成期間が課題となることもあります。
また、オーナー経営者が負っていた個人保証の引き継ぎがスムーズに進まないケースや、後継者となった従業員に対して他の従業員からの反発や嫉妬が生じる可能性も考慮が必要です。

(※より詳しい内容については、以下の記事で解説しています。)
【関連】従業員承継のメリット・デメリット。成功への鍵と失敗しないための対策

2. オーナー企業が直面する「従業員承継」の具体的な課題と乗り越え方

従業員承継は多くのメリットがある一方で、オーナー企業ならではの複雑な課題に直面することもあります。

課題1:後継者候補の選定と「経営者としての資質」の見極め

「長年いる社員は皆大切だが、誰に託せばいいのか?」「現場はできるが、本当に経営者としての器があるのか?」
オーナー経営者の皆様が抱える最も大きな課題の一つです。
幹部社員であっても、経営全体を俯瞰する視点や、リスクを判断する能力はゼロから育成が必要です。

この課題を乗り越えるには、貴社への貢献度だけでなく、リーダーシップ、学習意欲、決断力、そして何よりも「会社を未来へ導く覚悟」があるかを冷静に見極める客観的な評価プロセスが不可欠です。

課題2:株式の評価と資金調達、そして個人保証の問題

後継者が多額の株式取得資金を自身で用意することは困難な場合がほとんどです。
オーナー様の個人保証の引き継ぎも大きな壁となることがあります。

課題3:現オーナーと後継者間の「権限移譲」と「コミュニケーション」

オーナー経営者様が長年築き上げてきた会社だからこそ、権限移譲に葛藤が生じたり、後継者への細かな口出しをしてしまったりすることがあります。
これが後継者の成長を阻害し、従業員の混乱を招く原因となることがあります。

この課題を乗り越えるには、承継プロセスにおいて、権限や役割の移行計画を明確に定めます。
現オーナー様と後継者間で定期的な対話の場を設け、経営理念やビジョン、そして具体的な経営判断の基準などを丁寧に共有する仕組みを作ります。

課題4:従業員の理解と組織体制の再構築

後継者となった従業員に対して、他の従業員が反発したり、承継後に組織が機能不全に陥るリスクもあります。事業承継の目的と後継者の選定理由を、社内外に丁寧かつ透明性高く説明することも重要です。承継後の新しい組織体制や役割分担を明確にし、必要に応じて人事評価制度や報酬体系の見直しも検討しましょう。

[関連]事業承継で持株会社(ホールディングス)は有効?活用のメリット・デメリット・スキーム

3. 「従業員承継」成功への具体的なステップ

従業員承継を成功させるためには、周到な準備と専門家の伴走が不可欠です。

ステップ1:承継の「準備」と「現状把握」

オーナー様ご自身の事業承継への想いや、引退後のライフプランを明確にします。
同時に、会社の財務状況、事業内容、組織体制、潜在的なリスクなどを詳細に把握します。

ステップ2:後継者候補の「選定」と「育成計画」

親族以外の候補者として、社内の役員や従業員の中から、経営者としての資質と意欲を持つ人材をリストアップします。そして、その候補者に合わせた具体的な育成計画を策定します。

ステップ3:株式・資産の「承継スキーム設計」と「資金調達」

可能であれば、税負担が少なく、かつ経営権が安定する株式取得スキームを検討します。
同時に、株式取得に必要な資金調達の具体的な方法も検討します。

ステップ4:社内外への「情報開示」と「組織移行」

事業承継の決定から実行にかけて、従業員、取引先、金融機関など、社内外のステークホルダーに対し、適切なタイミングで情報を開示し、理解と協力を得ることが不可欠です。

ステップ5:承継後の「モニタリング」と「フォローアップ」

事業承継は、バトンタッチが完了して終わりではありません。
承継後の経営が軌道に乗るまで、一定期間のモニタリングとフォローアップが必要なこともあります。

4. まとめ:従業員承継は「実行経験」豊富なプロと共に

従業員承継は、後継者不在の課題を解決し、貴社が大切にしてきた企業文化や従業員の雇用を守る、非常に有効な選択肢です。しかし、その実現には、税務・法務、組織・人事、経営戦略などの専門家との協働が必要です。

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「従業員承継を検討したいが、何から始めれば良いかわからない」
「後継者となる社員の育成に不安がある」
「株式や資金の問題が複雑で、専門家のアドバイスが欲しい」
「他の従業員への影響も考慮しながら、スムーズに進めたい」

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