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事業承継コンサルティングとは?磨き上げを担う事業承継専門家の役割・費用・選び方-企業成長支援- GDG

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事業承継 # M&A・PMI# 事業承継計画# 企業価値向上# 後継者# 従業員承継# 株価評価

事業承継コンサルティングとは?磨き上げを担う事業承継専門家の役割・費用・選び方

更新日 : 2025.12.10

事業承継は、すべての経営者がいずれ直面する重要な経営課題であり、第二創業とも言える重要な転換点です。しかし、事業承継には財務・税務・法務・経営などの多岐に渡る課題対応が必要なため、どのように進めればよいか悩んでいる経営者の方も多いのではないでしょうか。

そのような場面で力を発揮するのが事業承継コンサルです。事業承継の全体像を整理し、計画策定から実行まで伴走することに加え、「磨き上げ」を通じて引き継ぎやすい会社へと整えることまで支援を行う点が特長です。本記事では、事業承継コンサルとは何か、その役割やサービス内容、費用から選び方まで分かりやすく解説いたします。

事業承継コンサルティングとは?

事業承継コンサルとは、企業の事業承継が円滑に進むよう、事業承継の全体像を整理し、計画をつくり、実行まで伴走する専門家またはコンサルティングサービスです。

親族内承継だけでなく、従業員承継(社内承継)、第三者承継(M&A)など、事業承継の選択肢は会社の状況によって変わります。事業承継コンサルは、事業承継計画の作成や各種アドバイスに留まらず、必要に応じて税理士・弁護士・金融機関・M&A専門家などと連携しながら、事業承継に関する「意思決定」と「実行」を前に進める推進役(プロジェクトマネージャー)として機能します。

具体的には、次のような役割を担います。

  • 現状分析:株主・資産・契約・組織・キーマンなどの棚卸し、承継リスクの可視化
  • 方針設計:親族内/従業員/第三者承継の比較検討、優先順位づけ
  • 計画策定:ロードマップ、体制(会議体・意思決定ルール)、スケジュールの設計
  • 関係者調整:親族・幹部・株主・金融機関・取引先などへの説明整理、合意形成の支援
  • 実行支援:やるべきことの進捗管理、論点の手戻り防止、必要専門家の最適配置

全体設計・実行伴走・磨き上げが必要なとき、事業承継コンサルが効果的

事業承継の全体像は複雑

事業承継は重要性が高い一方で、社内に専任を置きづらく、次のような課題にぶつかりがちです。

  • 何から着手すべきか分からない(論点が多く、優先順位がつけづらい)
  • 承継の選択肢が決めきれない(後継者不在・親族内が難しい等で決断しきれない)
  • 手続き・関係者調整が複雑(株式、相続、役員体制、金融機関対応などが絡む)
  • 進め方を誤ると混乱しがち(合意形成が後手になり、手戻りや対立が生まれる)
  • 計画倒れになりやすい(多忙による先送り、必要資料が揃わない、打ち手が実行に落ちない)

こうした背景には、事業承継が株式や税務の問題にとどまらず、経営の引き継ぎ、後継者育成、関係者調整、場合によってはM&Aまで、論点が多岐にわたるためです。

事業承継コンサルティングは、複雑な課題を解きほぐし、準備を前に進めるパートナー

そうした複雑な課題に対して、事業承継コンサルは、税理士・弁護士などと連携し、以下を推進役として前に進めます。

  • 何を、誰が、いつまでに、どの順番で進めるかのロードマップ作成
  • 関係者の利害調整による合意形成
  • 計画倒れを防ぎ、実行を強力に後押し

事業承継コンサルとの伴走で、早い段階で課題とリスクを洗い出し、打ち手を実行可能なレベルにまで落とし込むことが可能です。結果として、準備の遅延などのトラブルを防ぎながら、計画的に承継を進めやすくなります。

引き継ぐための準備だけでなく、企業価値を上げるための支援も

事業承継の準備では「引き継ぐ」だけでなく、引き継ぎやすい会社に整える(磨き上げ)ことも重要です。事業承継コンサルの中には、こうした磨き上げの支援に対応可能な会社も存在しています。磨き上げについては、「磨き上げによる企業価値向上の方法」をご参照ください。

事業承継コンサルティングが向くケース

以下のような状況では、個別相談だけでなく、事業承継の全体像を設計し、実行を推進する役割がいると、プロジェクトが前に進みやすくなります。こうしたケースには、事業承継コンサルの活用が有効です。

  • 承継方針が決めきれない(親族内/従業員/第三者承継のどれが最適か迷っている)
  • 論点が複数領域にまたがる(株式・相続・経営・人・組織・資金繰りが絡み合う)
  • 関係者が多く、利害調整が難しい(親族株主、共同経営者、幹部、金融機関など)
  • 経営の引き継ぎが重い(権限移譲、役員体制、意思決定ルール、後継者の育成が必要)
  • 時間制約が強い(体調不安、年齢、取引先・金融機関への説明期限など)
  • M&Aを視野に入れている(第三者承継を見据えながら、親族内承継も同時検討、など)
  • 磨き上げが必要(属人化の解消や、ガバナンスなどを整える必要)

事業承継コンサルティングが不要あるいは後回しでよいケース

反対に以下のように論点が限定的な状況では、士業や公的窓口を中心にした相談でも十分進めていけることもあります。

  • 方針が固まっていて、実務が限定的
  • 論点が税務・相続メイン(株価対策、贈与・相続のスキーム整理が中心)
  • 手続き中心(役員変更、契約書・定款まわりなど)
  • 社内に推進を担う担当が準備でき、外部支援が不要

ただし、当初は社内で完結可能と考えていても、既述の通り、事業承継の論点は多岐に渡ります。例えば、経営の引き継ぎ・関係者調整・後継者育成など、想定していない事項が表面化することがあります。そうした場合には、途中からでも事業コンサルの支援を受けることを検討してください。

※その他の事業承継の相談先については、事業承継の相談先まとめをご参照ください。

ステップ別の事業承継コンサルティング

事業承継コンサルは、論点を整理して合意形成を進め、期限までにやり切るための支援が特徴です。会社の状況により順番は前後しますが、概ね次のように進みます(事業承継の全体像は事業承継ガイドもあわせて参照ください)。

見える化(現状診断・論点整理)

最初に行うことは、承継の前提条件を“見える状態”にすることです。ここが曖昧だと、その後の計画も実行も変動要因が多くなりがちです。

  • 現状診断(課題・論点・優先順位)
  • 株主構成/自社株の論点整理(分散・名義・種類株などの棚卸し)
  • キーマン・資産・契約などの棚卸し(承継時のボトルネックを可視化)
  • 事業運営(オペレーション)の実態と課題把握
  • オーナー自身の業務内容の棚卸しと、引き継ぎ方針の整理
  • その他のリスク整理

事業承継計画の作成

事業承継の選択肢ごとの比較を含め、事業承継計画に落とし込み、必要に応じて関係者と認識を揃えるステップです。時間軸とともに、課題解決の方法や必要な準備などを、「実行可能な粒度」へと落としこみます。

  • 事業承継計画(ステップ・期限・担当まで反映した計画)
  • 意思決定メモ(誰が何を決めるか・決める順番・判断基準)
  • 関係者コミュニケーション設計(誰に・いつ・何を説明するか)
  • 後継者育成の方針(育成テーマ、権限移譲の段階設計)

実行支援(手続き・合意形成・専門家連携・M&A含む)

実際に計画を実行するステップです。税務・法務・金融・M&Aなど、必要な専門家との連携も行います。

  • 進行状況の見える化
  • 新しい組織体制への移行準備開始
  • 税務・財務の実行案(株式移転の手段検討、納税資金の段取り等)※税理士などと連携
  • 合意形成の進行シナリオ(親族・幹部・株主・金融機関への説明順序と論点)
  • (第三者承継の場合)候補先条件整理、資料作成支援、Q&A管理、進捗管理

後継者育成・承継後フォロー(引き継ぎの定着)

新体制が回り始めるまでの移行期間を設計し、定着させます。

  • 引き継ぎ項目一覧(重要顧客、銀行対応、意思決定、暗黙知の棚卸し)
  • 新体制の会議体・運用設計(意思決定と報告のリズムを固定化)
  • 必要に応じたモニタリング(進捗レビュー、課題の再整理、追加打ち手の提案)

事業承継コンサルの支援内容については、 GDGの支援プランでもご紹介しています。

磨き上げで、「引き継げる・伸ばせる」会社に変える

磨き上げは、後継者が不安なく意思決定できる状態、つまり「収益の再現性」「引き継ぎやすさ」「重大リスクの見える化や対応」が揃った状態に会社を整え、企業価値の向上につなげることです。

事業承継コンサルティングによる磨き上げ

ここは、一般的な「税務・法務・手続き中心の支援」との違いが最も出るポイントです。士業の先生が強いのは、スキーム作成や手続きを正確に通すことです。M&A仲介会社が強いのは、現在の会社状態をもとに相手を探すマッチングです。いずれも重要な役割ですが、磨き上げは、企業価値向上の領域であり、ここを後押しすることに事業承継コンサルの価値があります。

事業承継の準備とともに磨き上げを実行することは、事業承継を単なる手続きで終わらせることなく、承継後の持続的な成長へと繋げる戦略的な一手へと位置付けることでもあります。

磨き上げは、M&Aの成約率や経済条件にも影響

磨き上げは、M&Aにも影響します。買い手が見ているのは数字だけでなく、「事業を引き継いでも運営可能か」「属人的リスクはどこか」「PMIの難所はどこか」などです。磨き上げでこれらが言語化・可視化されるほど、交渉もDDもPMIも進めやすくなり、M&Aの成約率や経済条件にも影響します。

事業承継コンサルの費用

専門的なサポートを依頼するとなると、気になるのが費用面ではないでしょうか。ここでは、事業承継コンサルの一般的な費用相場(料金の目安)と、費用対効果について解説します。事業承継コンサルの費用は、依頼する内容やコンサル会社によって様々ですが、大きく分けると、以下のような料金形態が取られることが一般的です。

スポット(個別業務)料金制

業務ごとに個別に料金が発生する方式です。例えば、「自社株評価の算定」や「事業承継計画書の作成」といった単位で依頼し、その都度費用を支払います。相場感として、自社株評価の依頼で数十万円、事業承継計画の策定で数十万~数百万円程度が目安とされています。

月額報酬制

コンサルタントとの契約を結び、月次で一定の報酬を支払う方式です。事業承継の準備から完了まで長期にわたる場合に採用されることが多く、毎月定額のコンサルティングフィーを払いながら継続支援を受けます。月額数十万円程度のケースが一般的です。

成功報酬制

M&Aによる承継などは成功報酬方式もあります。例えば、譲渡が成立した際に譲渡金額の一定割合を成功報酬として支払う形です。着手金や中間金を併せて設定しているコンサル会社もあります。

以上のように、規模や難易度によって費用体系は変動しがちです。まずは複数のコンサル会社に相談し、提案を受領したうえで、費用に見合う支援内容かどうかを検討しましょう。

コンサル費用に見合う効果は?

コンサルに依頼すると費用が高いのでは?と心配かもしれません。しかし、事業承継コンサルを活用し、長年築いてきた会社を次世代につなげられること自体は大きな価値です。また、M&Aによる売却を成功させた場合、交渉力次第では譲渡金額の引き上げもあります。さらに、国の事業承継・引継ぎ補助金などを活用すれば、専門家費用の一部について補助金が受け取れる可能性もあります。こうした支援策も含め、コンサル費用を抑えつつ最大限の効果を得る道もあります。

比較項目事業承継コンサルM&A仲介会社税理士・会計士
ゴール企業の存続・成長・価値向上マッチング(成約)正確な税務申告・節税
企業価値磨き上げで向上現状の数字で評価税務観点で、株価は下げることが多い
M&A対応オーナー側中立専門外のことが多い
期間中長期(準備〜実行〜PMI)短~中期長期
費用感月額(+成功報酬)成功報酬顧問料

事業承継コンサルティングの選び方

事業承継コンサルは各社によって得意分野やサービス体制が異なります。コンサルを選ぶ際のポイントを押さえておきましょう。

実行にコミットしているか?

事業承継は“計画書を作って終わり”になりやすい領域です。計画の実行段階でどのような支援が受けられるか確認しましょう。

磨き上げ支援があるか?

磨き上げは、後継者が安心して引き継げる“再現性のある会社”に整えることです。この領域の支援が受けられるか確認しましょう。

中立性があるか?

例えば第三者承継(M&A)を含むと、立場や状況によって最適解が変わり、利益相反が起こりうる状況になることもあります。重要なことは、会社が持っている選択肢を公平に検討・提案してくれるコンサルかどうかです。

専門知識・実績で比べる

事業承継に関する専門知識と実績を豊富に持っているかどうかです。資格を持っているかどうか以上に、「中小企業の事業承継」に特化した経験を有しているかが重要です。

連携体制に関するチェック

事業承継には多岐にわたる手続きや調整が伴います。外部の弁護士や税理士、M&A仲介会社などと提携体制がある場合、一つの窓口で事業承継に関するあらゆる相談が完結します。

コミュニケーションと相性に関するチェック

事業承継はプライベートな要素も含むテーマです。経営者の価値観や家族観、会社への想いなどをしっかり汲み取ってもらい、寄り添った支援を受けるには、担当者との信頼関係が不可欠です。質問に丁寧に答える、会社の歴史・理念や従業員への想いを理解・尊重する姿勢がある、レスポンスが早く誠実な対応が期待できるなどはチェックしましょう。

自社の業界や会社への知見があるか

「特殊な加工技術」や「長年の取引先との信頼関係」といった無形価値は、事業承継において極めて重要です。貸借対照表の数字だけでは、必要な引継ぎの特定や、企業価値を適正に評価することは出来ません。自社の業界やビジネスモデルに対する知見を持っているかは、重要な選定基準です。

Q&A

Q. 相談したいですが、何から話せばいいかも分かりません。
A. まったく問題ありません。ほとんどの経営者様が、整理されていない漠然とした不安を抱えた状態からご相談を始められます。初回のご相談では、私たちが丁寧にご状況をヒアリングし、課題を整理するところから始めますので、ご安心ください。

Q. 無料で相談できるところはありますか?
A. はい、多くの専門家が実施しています。私たちGDGでも無料相談を実施中です。 セカンドオピニオンとしても活用いただけますので、まずは事業承継コンサルティングの無料相談からお申し込みください。

Q. 相談する前に準備しておくべきことはありますか?
A. 前に会社の財務状況(決算書など)、事業内容、抱えている課題(後継者不在、業績不振など)、そして「どうしたいか」という経営者様の想いを整理しておくと、よりスムーズな相談が可能です。具体的な資料がなくても、まずは口頭で相談できるケースがほとんどです。

Q. 複数の相談先に話を聞いても大丈夫ですか?
A. 全く問題ありません。むしろ、複数の相談先に話を聞くことで、それぞれの専門性や費用、担当者との相性を比較検討でき、より良いパートナーを見つけることに繋がります。納得いくまで情報を集めることをおすすめします。

Q. 会社の価値(株価)はどのように算定されますか?
A. 企業価値評価には複数の手法があります。状況によって評価手法が変わります。

事業承継コンサルティングのまとめ

事業承継コンサルは、株式や資産移転をサポートすることだけが目的ではありません。会社のこれまでの歴史や将来展望を踏まえて、事業承継を満足いく形で導くことが大きな役割の一つです。

事業承継に関する不安や疑問を少しでもお持ちなら、まずは無料相談をご利用ください。中堅・中小企業の実情に合わせた伴走型の支援をご希望の方は、事業承継コンサルティングの詳細も合わせてご覧ください。


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監修者

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宇納 陽一郎

グランド・デザイニング・グループ代表。早稲田大学卒業後、野村證券にて営業・投資銀行業務に従事した後、日清食品にて経営企画・M&Aに従事。その後、PE投資会社にて複数社での事業承継および新体制構築を経験。経営や事業承継の実体験を活かした事業承継支援を提供。㈱ウォーターフロント代表取締役、㈱ナルネットコミュニケーションズ取締役等を歴任。

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