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後継者育成計画|事業承継の成功に向けたステップ別ガイド

更新日 : 2025.06.10

後継者の育成は、いつから、何を、どう進めればいいのだろう?
多くの経営者の皆さまが、この悩みを抱えています。

後継者の重要性は理解していても、実際に計画的に実行できている企業は決して多くありません。
計画がないまま後継者育成を進めようとすると、場当たり的になったり、途中で頓挫したり、承継直前で後継者に自信をもってバトンタッチできないなど、せっかくの時間と労力が無駄になってしまうリスクもあります。

後継者育成計画は、まさに会社の未来を左右する重要な羅針盤です。明確な計画を持つことで、育成プロセスを円滑に進め、後継者が着実に経営者としての力をつけ、結果として会社が持続的に発展する基盤が築かれます。

この記事では、なぜ後継者育成計画を作成するメリット、具体的な作り方、そして成功事例から学ぶポイントと相談先まで、明日から実践できる内容としてお届けします。

1. 後継者育成計画とは?

後継者育成計画とは、会社の将来を託す後継者が、いつまでに、どのような経営者として成長すべきか、その目的、期間、育成内容、評価方法などを明確に定めたロードマップのことです。

後継者育成計画は、より広範な概念である「サクセッションプラン(幹部候補・経営層育成計画)」や「事業承継計画」の中核をなすものと言えます。

後継者育成計画の作成には、メリットが多数存在

後継者育成計画の作成によるメリットとしては、育成の進捗状況が可視化されるため、漠然とした不安が解消され、行うべきことに集中して、着実にステップを進めることができます。

また、計画が明確になることで、現経営者だけでなく、後継者本人、幹部社員、そして場合によっては取引先など、関係者全員が共通の認識を持ち、一体となって後継者の成長をサポートできるようになるでしょう。

さらに、計画に基づいて育成を進めることで、育成の効率を高めることが可能です。

後継者自身も、具体的な目標に向かって努力できるため、モチベーションを高く維持し、成長への意欲を向上させることができます。

結果として、計画的な育成は金融機関や取引先からの信用向上にも繋がり、会社の安定性を対外的にアピールする材料にもなるのです。

2. 後継者育成計画の作り方

具体的な後継者育成計画は、以下の7つのステップで構築し、実行していくことが成功への鍵となります。PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を意識し、柔軟に進めましょう。

まずは現状分析からスタート

ステップ1: 現状分析と課題の明確化
まずは、会社の現状を客観的に見つめ直すことから始めます。
財務状況、組織体制、事業の強みや弱み、企業文化などを詳細に分析しましょう。
同時に、後継者候補がいる場合は、その方のスキル、経験、経営への意欲、パーソナリティなどを深く理解します。そして、後継者育成においてどのような課題(期間、予算、育成担当者、候補者の適性など)があるのかを具体的に洗い出すことが重要です。

後継者育成における目標を、時間軸とともに設定

ステップ2: 後継者育成目標の設定
次に、後継者に「いつまでに、どのような経営者になってほしいのか」、具体的な目標を設定します。
これは、単に「社長になる」というだけでなく、例えば〇〇という企業理念を体現できるリーダーになる、社長として〇〇のリーダーシップを担う、といった、具体的な役割や人物像で表現することが望ましいでしょう。目標は、短期、中期、長期に分け、段階的に達成を目指すことで、後継者も取り組みやすくなります。スキルはもちろん、独自の企業文化を体現する後継者を育てることを目標に設定しましょう。

ステップ3: 育成内容の具体化
目標達成のために、後継者が何を学ぶべきか、育成すべき内容を具体的に洗い出します。
経営知識(財務、マーケティング、法務など)、マネジメントスキル(リーダーシップ、人材育成、意思決定など)、業界知識、そして人脈形成や人間力といった多岐にわたる項目が含まれるでしょう。
育成方法としては、実際の業務を通じて学ぶOJT(On-the-Job Training)はもちろんのこと、経営者の皆さまとの対話や新しい役割や権限の漸次的設定、社外の経営者向けセミナーやビジネススクール、異業種交流会への参加といったOFF-JT(Off-the-Job Training)も効果的に組み合わせることが大切です。

ステップ4: 育成期間とスケジュールの策定
後継者育成には、十分な時間が必要です。最低でも3~5年場合によっては10年といった長期的な視点を持つことが必要です。
各育成内容に対して具体的な期間を設定し、年間、半期といったスケジュールに落とし込みます。また、それぞれのステップにおけるマイルストーンを設定することで、進捗を確認しやすくなります。

ステップ5: 評価方法の決定
育成計画の進捗と後継者の成長を客観的に測るための評価方法を定めます。
定期的な面談、レポート提出、特定の業務における成果、社外研修での成績、さらには多面的なフィードバック(360度評価)などを組み合わせることで、多角的に後継者の成長を評価できます。
評価結果は後継者に丁寧にフィードバックし、育成計画を継続的に改善していくための貴重な情報とします。

ステップ6: 育成担当者の選定と役割分担
後継者育成は、現経営者一人で抱え込むものではありません。
会社の幹部社員、あるいは外部講師など、後継者の成長をサポートする最適な担当者を選定し、それぞれの役割(メンター、コーチ、インストラクターなど)を明確にすることが重要です。チームとして後継者育成に取り組むことで、より多角的な視点と手厚いサポートが可能になります。

継続的な見直しは不可欠

ステップ7: 計画の見直しと改善
後継者育成計画は、一度作ったら終わりではありません。
後継者の成長度合いや会社の状況、市場環境の変化に合わせて、定期的に見直し、柔軟に改善していくことが極めて重要です。PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を回し、常に最適な育成プロセスを追求する姿勢が求められます。

後継者育成計画の策定は、後述の事業承継のコンサルタントに支援をお願いすることも有効です。

3. 事例|後継者育成計画の成功パターンと失敗パターン

実際に後継者育成計画に取り組んだ企業の事例から、成功の秘訣と避けるべき落とし穴を学んでいきましょう。

成功事例早期着手と権限委譲で自律的な成長を促したA社

A社では、現経営者が引退を見据えて明確な育成計画を策定しました。
後継者には、まず各部署での幅広な実務を経験させ、その後は苦手とした財務諸表の読み方や経営戦略策定に関する外部セミナーにも積極的に参加させました。
初期段階から重要な権限を段階的に後継者へと委譲し、後継者自身に意思決定の機会を与えることで、着実に経営者としての自覚と能力を育んでいきました。この会社では、綿密な計画と早期着手、そして現経営者の「任せる」姿勢が相まって、非常にスムーズな事業承継を実現しています。

失敗事例計画不在と過度な干渉で育成が頓挫したB社

B社では、後継者育成の必要性は感じていたものの、具体的な計画がなく、日々の業務に追われる中で場当たり的な育成しか行われませんでした。現経営者が「まだ早い」「口出ししないと不安」という思いから、後継者に十分な権限委譲が進まず、後継者も自律性を育む機会に恵まれませんでした。
結果として、後継者が経営者としての自信を持てず、最終的にはモチベーションを失って会社内での事業承継を断念しました。計画の不在と、現経営者の過度な関与が、育成を頓挫させた例です。

4. 後継者育成計画の相談先はどこ?

後継者育成計画の作成と実行は、多岐にわたる知識と経験を要するため、自社だけで進めるのは難しいと感じる経営者様も少なくありません。そうしたときには、事業承継のコンサルティング会社との連携は有効です。

事業承継のコンサルティング会社は、後継者育成を含めて、事業承継を全面的にサポートする専門家です。

事業承継のコンサルティング会社は、まず現状と後継者候補の特性を客観的に分析し、最適な育成計画の方向性を提案し、計画の作成、そして実行のサポートも行います。

また、後継者へのメンタリングやコーチングも重要な役割です。現経営者様と後継者の間に立ち、双方の意見を調整しながら、後継者の成長を促進するための個別指導やキャリア形成支援を行います。

さらに、税理士や弁護士の先生と連携した資産の承継方法や、状況に応じてM&Aの支援など、事業承継全体に対するアドバイスを提供できることも強みです。

5. 時間を要する後継者育成は、早めの一歩が肝要

後継者育成計画は、会社の未来を左右する重要な計画です。

後継者については、多くの経営者さまが抱える悩みかもしれませんが、適切な計画を立て、それを着実に実行することで、必ず乗り越えることができます。

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監修者

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宇納 陽一郎

グランド・デザイニング・グループ代表。早稲田大学卒業後、野村證券にて営業・投資銀行業務に従事した後、日清食品にて経営企画・M&Aに従事。その後、PE投資会社にて複数社での事業承継および新体制構築を経験。経営や事業承継の実体験を活かした事業承継支援を提供。㈱ウォーターフロント代表取締役、㈱ナルネットコミュニケーションズ取締役等を歴任。

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