事業承継に強い税理士の選び方|税務面以外での対応力もポイントに-企業成長支援- GDG
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事業承継を考え始めたけれど、まず税理士に相談すれば安心だろうか?
経営者の皆様が事業承継を検討する際に、まず思い浮かぶ相談相手は顧問先の税理士先生かもしれません。実際に、事業承継には税務の専門知識が欠かせない場面が数多く存在します。
しかし、顧問先の税理士先生が事業承継に精通しているかどうかは、ケースバイケースです。
また、本当に後悔のない事業承継を実現するには、税金対策だけでは不十分な場合があります。
事業承継に強い税理士先生に出会えると、税務面での助言はもちろん、事業承継に対して包括的なアドバイスをしていただくことが可能になります。
この記事では、「事業承継に強い税理士」を見極めるポイントと、その税理士の専門性を最大限に活かしながら、事業承継をより確実に、より円滑に進めるための方法をご紹介します。
目次
1. 事業承継における税理士の役割は?
事業承継において、税理士が担う役割は極めて重要です。税務・財務のプロフェッショナルとして、その専門性が不可欠な場面は数多く存在します。
まずは事業承継に関して税理士先生が担う役割を見ていきましょう。
① 税務の専門家としての役割
事業承継(親族内承継)において、税理士は主に次のような重要な役割を担います。
まず、自社株の評価を行います。非上場企業の自社株評価は、税金や承継後の経営権にも直結するため、正確な評価を行い、将来を見据えた対策を提案します。
次に、株式の移転方法の設計と実行をサポートします。相続、贈与、譲渡など、様々な株式移転方法の中から、税負担を最小限に抑えつつ、経営権の安定を図る最適なスキームを設計します。移転計画にもとづいて、株式の分散を防ぎ、円滑な承継を実現するための助言も行います。
相続税・贈与税のシミュレーションと節税対策も重要な役割です。事前に税額を試算し、事業承継税制の活用、資産管理会社の設立、生命保険の活用など、具体的施策を提案・実行します。また、発生する税金に対する納税資金の確保に関する助言や、必要に応じて資産管理会社の設立を支援するなど、財産の移転や整理に関する専門的なアドバイスを提供してくれます。
また、親族内承継に限らず、従業員承継や第三者承継など、状況に応じて必要な助言もしていただけます。
事業承継に強い税理士は、こうした税務面からの提案や、その後の手続きをミスなく進めてくれます。
② 経営の継承支援者としての役割
税理士は税務のプロフェッショナルですが、事業承継は財産の移転だけでは完結しません。会社を動かすのは株式だけではなく、人であり、組織であり、日々のオペレーションです。
例えば、現経営者が長年培ってきた経営判断の基準、社員との信頼関係の築き方、取引先との交渉スタイル、そして組織全体の文化などは帳簿には表れませんが、事業の実態を引き継ぐという観点では、むしろこちらのほうが重要です。
また、現場での業務の属人化や、後継者が社員の信頼を得られていないといった課題がある場合、承継後の組織が機能不全に陥るリスクもゼロではありません。業務の可視化やマニュアル化、後継者との段階的な役割移行など、経営の引き継ぎには時間をかけた、戦略的な準備が必要と言えます。
特に、後継者育成や引継ぎは想像以上に時間を要するため、早めの準備開始が成功のカギを握ります。
事業承継に強い税理士は、税務面に加えて、経営の承継に関する助言役にもなってくれます。
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2. 事業承継に強いかを見極めるポイントは?
では、数ある税理士の中から、本当に事業承継に強い税理士を選ぶにはどうすれば良いのでしょうか?
① 事業承継に関する専門知識と豊富な実績があるか?
日常的に法人決算や税務申告を行う税理士事務所と、事業承継支援に注力している税理士事務所とでは、対応範囲にも実績にも大きな違いがあります。
事業承継税制(納税猶予・免除など)の適用判断や手続きに関する具体的な経験の豊富さ、非上場株式の評価や移転に関して多様なケースにおける経験、その他にも家族信託やファミリーオフィスの活用など、ケースバイケースに異なる状況で、必要な提案ができるか、は税理士先生の専門性と経験によって大きく異なります。
また、相続人や経営陣とのデリケートな関係性を考慮し、家族間のバランスや経営陣の意向、従業員の感情などを踏まえて、円滑な合意形成を促すための助言ができるかもポイントです。
複雑な事業承継の課題に対応できるかどうかを確認しましょう。
② 経営全体や後継者育成への提案力があるか?
事業承継に強い税理士は、税務の視点に留まらず、会社の経営全体を見渡し、将来にわたる承継の設計図を描ける心強い存在です。
税金だけでなく、経営権の安定、後継者の成長、従業員のモチベーション維持、取引先との関係性など、事業承継後の経営安定化まで見据えた提案ができるかどうかや、経営者様の想いや会社の未来に寄り添い、多角的な視点から最適な事業承継計画を描けるかは、大きなポイントとなります。
専門性だけでなく、腹を割ってお話が出来るかどうかの人間的な相性も重要です。
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③ ネットワークがあるか?
事業承継は税務だけで完結するものではなく、法律や不動産など様々な分野での専門家とも連携しながら進めていきます。事業承継に強い税理士は、必要に応じて弁護士、司法書士、不動産鑑定士、事業承継や経営に関するコンサルタント、M&Aコンサルタント、金融機関など、他分野の専門家との強固なネットワークを持っていることも少なくありません。
これは、税理士の先生が全ての専門領域を直接カバーするのではなく、それぞれのプロフェッショナルと連携することで、お客様に最適なワンストップでの支援を提供できる体制があるか、という点で重要なポイントになります。
3. 顧問先の税理士先生と事業承継を進めたい場合は?
ここまでは「事業承継に強い税理士先生を選ぶ方法」を解説してきました。しかし、長年の関係に渡る顧問先の税理士先生とともに事業承継を進めたい、といったご意向がある場合はどうすれば良いでしょうか?
そうしたご意向がある場合、事業承継コンサルタントの活用が有効です。
事業承継コンサルタントの活用により、税理士先生と連携しながら、経営面での継承計画についても包括的に支援をもらうことが期待できます。
事業承継コンサルタントに期待できる領域は?
後継者の経営戦略構築の支援や、新体制を見据えた後継者の育成、組織体制の見直しなどにより、承継後の組織がスムーズに機能するサポートします。
また、業務改善や見える化を通じて属人化を解消し、業務プロセスの一部を標準化・マニュアル化することで、後継者が経営や業務に集中できる環境を整えます。
企業文化・ビジョンの浸透に関する支援も行い、経営者の想いや会社のイズムを言語化し、次世代へ確実に浸透させるための具体的な方法を提案します。
特に中小企業の事業承継においては、経営者の感覚や肌感覚といった言語化しにくいノウハウの引き継ぎは重要です。これらを言語化し、仕組み化していくプロセスには、事業承継の支援に関するプロフェッショナルの関与が不可欠となります。
顧問の税理士先生とともに、事業承継コンサルタントの活用により、事業承継に関する包括的な支援体制をつくることが可能となり、税務面での不安を解消しながら、同時に経営の継承準備を戦略的に進めることが可能になります。
会社が次世代でさらに発展するための強力なサポートとなるでしょう。
【関連記事】事業承継コンサルティングの選び方|目的と相談内容から最適なパートナーを見つける方法
4. 税務と経営、両輪で進める事業承継
税理士の先生は、事業承継における税務対策の面で欠かせない極めて大切なパートナーです。
事業承継に精通している税理士の先生との出会いにより、事業承継成功へと大きく前進します。
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