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本部商談における棚割り提案|メーカーが売上を伸ばすための実践的アプローチ-企業成長支援- GDG

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2025.06.29

本部商談における棚割り提案|メーカーが売上を伸ばすための実践的アプローチ

前回の記事では「棚割りとは何か」を解説し、特に小売チェーンの売上を左右する「本部棚割り」の重要性について記載しました。特に、個々の店舗を回る「店舗営業」が中心だったメーカーの方々にとっては、全国展開の可能性を秘める「本部商談」は大きな機会となります。

しかし、「いざ本部商談に臨むとなると、何をどう提案すればいいのか」と悩む営業チームも少なくありません。この記事では、本部商談で棚割り提案を成功させるための実践的なアプローチについて深く掘り下げていきます。

棚割りの記事はこちらについてもご参照ください。

1. 本部商談で採用される!棚割り提案 3つの成功ポイント

ただ「この商品を置いてください」とお願いするだけでは、棚割り提案は成功しません。小売店のバイヤーに「この提案を受け入れたい」と思わせるには、戦略的なアプローチが不可欠です。

ポイント1:データに基づいた客観的な提案を行う

POSデータ、市場トレンド、消費者調査などの客観的なデータを用いて、「なぜこの商品が売れるのか」「導入することで店舗にどんなメリットがあるのか」を論理的に説明する。単なる愛情や思い込みだけではなく、数字という共通言語でバイヤーを納得させる根拠を示すことが重要です。

ポイント2:「カテゴリー全体」の視点を持つ

自社商品のことだけでなく、競合商品の動向やカテゴリー全体の売上を考え、「この商品を加えることで、この棚(カテゴリー)全体の売上がこう上がります」という視点で提案する。バイヤーは個々の商品だけでなく、売場全体の最適化と収益性を常に考えています。

ポイント3:小売店の課題解決に貢献する

その小売店が抱える「客層を広げたい」「利益率を改善したい」「特定のカテゴリの売上が伸び悩んでいる」といった課題を事前にヒアリング/リサーチし、その解決策として自社商品を提案する。バイヤーの「困りごと」に寄り添い、具体的な解決策を提示することで、信頼関係を築き、提案を受け入れてもらいやすくなります。

「とにかくこの商品が良い」というピンの営業から、「貴社」の「カテゴリー全体」のための「最適な個別商品」である、という包括的な位置づけへと少し提案のエッセンスを修正してみましょう。

2. 棚割表とは?棚割り提案で活用する「売場の設計図」

前回の記事で触れた「棚割表」は、本部商談で棚割り提案を行う上で、非常に重要なツールとなります。

棚割表とは、どの棚の、どの位置に、どの商品を、いくつ陳列するかを具体的に示した指示書です。
小売業者が棚割表を作成する究極の目的は、売場効率と収益性を高めるためですが、店舗における陳列(棚割りの実行)を見据えて、分かりやすく記載する必要があります。
棚割りでは、自社商品の「見せ方」も重要となります。例えば、買物客の胸から上の高さ「ゴールデンゾーン」と呼ばれ、目にとまりやすく、実際に商品に触れやすい位置であるため、メーカーとしても棚割りにおいてぜひとも取得したいエリアになります。

棚割表は単なる商品の配置図ではありません。
お客様の購買行動に関するデータ、市場のトレンド、そしてカテゴリー全体の売上を最大化するための戦略が凝縮されています。
こうした理由から、棚割り提案を行うメーカーの営業担当者にとって、現行の棚割表を入手し、その意図を深く理解したうえで、自社商品の価値を最大限にアピールするためのツールとして活用することが求められます。

では、メーカーの営業担当者が主体的に棚割表の作成に関わる目的は何でしょうか。

それは、自社商品を最適な場所に配置してもらい、販売機会を最大化することに他なりません。
具体的には、「新規導入商品の定番化」「競合商品に対する優位性の確保」「関連商品との買い合わせによる客単価向上への貢献」といった目的が挙げられます。それと同時に、販売先となる小売企業にとっても、現状より優位な棚割りを構築することにあります。
自社商品を配架してもらいたいという理由から、現状の売れ筋商品をカットするような提案は、それだけで検討の俎上に乗せることが難しくなります。売上を創出するための根拠ある提案として棚割表を提示することが、その真価を発揮する鍵となります。

2-1. バイヤーを納得させる棚割提案

優れた棚割表は、情報が整理されており、一目でその意図が伝わります。基本的な店舗名や商品情報、JANコード、フェイス数、陳列段数といった項目はもちろん重要です。しかし、メーカーが提案する際には、さらに説得力を持たせるための情報を付加すべきです。

例えば、POSデータに基づいた「なぜこの商品をこの場所に置くべきか」という配置の根拠や、この棚割りを実現することで「カテゴリー全体の売上がどう向上するのか」というシミュレーションデータです。

また、棚割表で提案する場合でも、競合他社の商品を適切に含めることが重要です。
自社商品のみで、単価・認知・支持などの商品特性をすべて満たせるケースはほとんどないはずです。

バイヤーとの信頼関係を構築するためにも、カテゴリーマネジメントの起点で、本当にその売り場にとってのベストは何か、を追求する姿勢は必要不可欠です。

2-2. 成果に繋がる実践的な棚割表の作成ステップ

効果的な棚割表は、以下のステップを経て作成されます。

  1. 情報収集と分析:
    まずは、対象となる店舗のPOSデータや市場データ、顧客の動線といった情報を徹底的に収集し、分析します。自社商品の強みだけでなく、カテゴリー全体を俯瞰する視点が重要です。
  2. 配置コンセプトの策定:
    分析結果を基に、「高利益率商品をゴールデンゾーンに配置する」「新商品を既存の売れ筋商品と隣接させる」といった、棚割りのコンセプトを明確にします。
  3. レイアウトの具現化:
    コンセプトに基づき、専用のシステムやExcelなどを用いて、具体的な商品の配置を決定していきます。商品のサイズやパッケージデザインも考慮しながら、視覚的に魅力的な売場を設計します。
  4. 提案資料としての完成:
    作成した棚割表が、なぜ売上向上に貢献するのかを説明する資料を準備します。前述した配置の根拠や売上シミュレーションを添えることで、単なる設計図から戦略的な提案へと昇華させます。

ここで大切な注意点があります。それは、目標とする小売企業の取引規模と、業務生産性の観点です。

具体的に言えば、膨大な時間をかけて準備をした結果、売上が1万円増えた、という状況を想像しましょう。これでは生産性が高いとはなかなか言えない状況かと考えられます。これは決して笑い話ではなく、「これからは本部商談に力を入れよう」となった企業でよくある話です。
重要なことは、ポテンシャルと実現性の確度を踏まえた「売上や利益の目標設定」、そして、自社提案の「基本形」を作ることによる提案書自体の横展開など、営業戦略に応じた「営業活動のシステム(仕組み)の設計」です。

2-3. 提案後まで見据えた棚割表の戦略的活用

棚割表の役割は、バイヤーに提案して終わりではありません。提案が採用され、売場が実現した後には、その効果を測定することが極めて重要です。

提案前のデータと比較し、売上や利益率が計画通りに推移しているかを確認します。そして、その結果を次の提案に活かすことで、PDCAサイクルを回していくのです。この継続的な改善活動とコミュニケーションこそが、小売業者との長期的な信頼関係を築き、自社製品の売上を安定的に伸ばしていくための確実な道筋となります。

棚割表は、メーカーの営業担当者にとって、自社の戦略を売場という形で具現化するための強力な武器です。その作成と活用には、データに基づいた分析力と、カテゴリー全体を成長させるという視点が不可欠です。本記事で解説したポイントを参考に、ぜひ次の商談から、より戦略的な棚割表の活用を実践してみてください。

3. 商品力と棚割構成だけでは不十分!小売側の「その他の条件」も考慮する重要性

「うちの商品は売れ筋で、こんなお客様に支持されています」
「商品のラインナップは豊富で、多様なニーズに応えられます」
「最適な棚割の提案はこちらです」

もちろん、自社商品の売れ筋や商品構成の良さは、提案の重要な要素です。
しかし、本部商談においては、それだけでは採用に至らないケースが多々あります。
なぜなら、バイヤーは商品そのものの魅力だけでなく、「店舗運営における実現可能性」や「小売側のビジネスへの貢献度」をより重視しているからです。

具体的には、以下のような「その他の条件」についても、情報を把握して、提案する必要があります。これらは広義のプロファイリングの対象となります。

  • 値入率(粗利率)
    小売店にとって、その商品がどれくらいの利益を生み出すか、は非常に重要です。
    貴社の商品が高い値入率を確保できるのであれば、それは強力な武器になりますが、規定の値入率を満たしていない場合は、そもそも検討が不可能という場合もあります。
  • ロット対応
    小売店が必要とする発注単位(ロット)に柔軟に対応できるか、は物流コストや在庫管理に直結します。
    特に中小企業メーカーの場合、この点で課題を抱えることが多くあります。
  • 物流対応
    ロットと関連してきますが、納品リードタイム、配送頻度、納品形態(ケース単位、バラ単位など)、センター納品の可否など、小売の物流システムに合わせた対応ができるかどうかも重要です。
  • システム対応(流通BMSへの投資が必要になる場合もあるなど)
    受発注システム(流通BMSなど)への対応可否も、大手小売との取引では必須となる場合があります。これらのシステム投資の是非は、重要な経営判断になります。

バイヤーは、商品の魅力だけでなく、自社(小売)にとってどれだけスムーズで、かつ利益に貢献する取引になるか、そしていかに効率的に在庫を回転させられるかを見極めています。商品が良いにもかかわらず、これらの「その他の条件」の把握や協議・対応が不足しているために、機会を逃しているメーカー様は少なくありません。

また、その他の条件に対応する場合は、会社としての収益性にも影響を及ぼし、先行投資も必要となります。決してノーリスクで取り組める領域でもないのです。
つまり、どのような将来像を目指すかや、財務状況に応じたとれるリスク許容度などを踏まえた経営計画が重要となります。

4. プロファイリングは必須!小売の発注形態を見極める

本部商談と一言で言っても、小売チェーンによってその意思決定の構造は大きく異なります。やみくもにアプローチするのではなく、対象とする小売チェーンの「発注形態」をプロファイリングして、誰にどう営業するかの設計が成功への近道です。

主な発注形態は以下の3タイプに分けられます。

  • 本部で商品選定と発注まですべて一括管理型
    大手スーパーやドラッグストアに多い形態です。
    本部のバイヤーが全店舗の棚割りを決定し、発注まで一括して管理します。
    このタイプには、本部への集中的なアプローチや、卸との連携が最も効果的です。
    本部の意思決定者が納得するような、大規模展開を見据えた提案が求められます。
  • 本部では商品選定&実際の発注や商品構成は店舗で決定型
    本部は基本的な商品選定や推奨品のリストを作成しますが、具体的な発注量や売場での配置は個々の店舗の裁量に任されている形態です。
    この場合、本部のバイヤーを納得させることはもちろん、その決定が個店に「降りてくる」ように促す施策や、個店へのフォローアップも重要になります。
  • 店舗ですべて完結型
    独立系の小売店や、一部の小規模チェーンで採用される形態です。
    店舗が商品選定から発注まですべて自ら行います。 この場合は、従来の店舗営業が引き続き有効です。個店の店長や担当者との関係構築が重要になります。

さらに、「NB(ナショナルブランド)は②だがPB(プライベートブランド)は①」といったように、商品カテゴリによって発注形態や担当者が異なるケースもあります。

自らのカテゴリーがどのような発注形態になっており、その発注基準は何か、権限はどこにあるか、を抑えなければ、いくら商品特性での差別化を図っても、商談の方向性がずれてしまう可能性があります。

事前に情報収集を行い、どのタイプに該当するかを把握することで、提案の焦点を絞り、効果的な成果を創出することが可能です。

弊社の支援では、これらのプロファイリング・データを自社の販売システムとして構築した例もあります。

5. 必ずしも本部商談だけが正解ではない:個店営業も視野に入れる戦略的判断

ここまで本部商談の重要性を強調してきましたが、実は必ずしも本部商談での棚割りが最善とは限らない場合もあります。

カテゴリー、取引先、そして貴社自身の特性によっては、個店・店舗への営業がより効果的なケースも存在することを理解しておく必要があります。

例えば、

  • 特定の地域に特化した商品の場合
  • 小ロットでの導入を希望する場合
  • 新商品でまずはテスト的に導入したい場合
  • 既存の商品にバイヤーが興味を示さないが、個店ではニーズがあることがわかっている場合

このようなケースでは、無理に本部商談に固執するよりも、柔軟に個店営業を組み合わせたり、時には個店営業から実績を積み上げて本部への足がかりを作る戦略も有効です。

重要なのは、「戦略が必要」であるということです。やみくもに営業するのではなく、小売の発注基準や形態、自社のリソースと商品の特性を総合的に踏まえ、本部商談と個店営業のどちらに比重を置くべきか、どのような組み合わせでアプローチすべきかを判断することが、生産性と売上拡大を同時実現するためのカギとなります。

6. 戦術レベルへの落とし込みと実行の難しさ

本部商談における棚割り提案のポイントや、小売のプロファイリングの重要性について解説してきました。これらの知識を得て、自社の営業戦略の方向性が決まったとしても、実際にそれを営業チームの「戦術レベル」での具体的な行動計画に落とし込み、そして実行していくことは、非常に難易度が高いのが現実です。

  • 「バイヤーに刺さる提案資料をどう作ればいいのか?」
  • 「チーム内でどのように情報共有し、連携すべきか?」
  • 「個々の営業メンバーが、実践的な商談スキルを身につけるにはどうすればいいのか?」
  • 「提案後のフォローアップをどのように仕組み化するか?」

このような具体的な課題に直面し、「せっかく良い戦略を立てても、現場で実行できない」と悩むメーカーの経営者や営業チームは少なくありません。特に、これまで店舗営業が中心だった会社が、本部商談に比重を高める際には、営業組織全体の意識改革やスキルアップが不可欠になります。

提案タイミングについては、以下の記事も参照ください。

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  • 「なかなか売上が伸び悩んでいる」
  • 「特定の取引先に依存し、売上を拡大するチャンスが見つからない」
  • 「本部商談のノウハウがなく、どうアプローチしていいか分からない」
  • 「営業チームのスキルアップや組織改革に課題を感じている」

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実際に、店舗営業メインの企業が、本部商談を活用して売上のマイナス成長を食い止め、その後に大きく成長を果たした事例もございます。

よくある質問(FAQ)

Q:本部商談は初めてですが、何から始めればいいですか?
A:まずは、対象とする小売チェーンの発注形態をプロファイリングし、本部アプローチが有効かを判断しましょう。その上で、貴社商品のカテゴリーにおける位置付けと、小売側の利益にどう貢献できるかを明確にする準備が必要です。

Q:小規模な会社でも本部商談は可能ですか?
A:可能です。重要なのは規模ではなく、小売側の課題を解決できる独自の価値提案と、物流・システム面での対応能力を示すことです。ただし、新規口座のハードルは上がっていますし、少数の営業チームの場合は、選択と集中、そして生産性は一層と重要です。

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